01.
まず病院の清潔なこと、医師や看護婦の優秀なこと、こんなのは東京のトップクラスの病院で、地方の大学病院なんかもっとひでえもんだ。行き倒れの患者がこんないい病院に入れるものか。13年前の映画だからしょうがないが、今ではあとで訴訟を起こされるのを恐れて、医者は患者の前で平気で「余命半年」なんてロボットのように言う。まあご挨拶程度に、荒れて見せる患者はいるが、四十代で死ぬ主人公、妻と子供以外に両親とか家族はいないのかね。しかもきれいな妻だし、まったくキレイキレイに作ってあるぜ。
02.
市川監督とは言うまでもなく、間の表現者でしょう。後の若い映画監督にもずいぶん影響を与えたはずです。病院で亡くなっていく人たちをまるでそこにある風景のように捉えていて、当人や周囲の者たちにとっての悲劇である病院で亡くなるということを淡々と映し出しています。 そこでの市川監督の演出は、演劇的な要素を排して、日常のリアリズムを間を巧に使うことによって表現し、見るものを画面に引き込ませます。過剰な演出で病院で繰り広げられる悲劇を描く映画とは、対極にあり、まるで観察をしているような感覚になります。好きなでない人には退屈な感覚になるでしょうし、うまくはまった人はそれが現実以上の現実に見えるのではないでしょうか。
03.
書籍の「病院で死ぬということ」を読み、かなりショックを受け、またいろいろなことを考えさせられた。そういうこともあり、ビデオも是非見たいと思い、念願かなって見ることに相成ったが・・・。このビデオは日本独特の構成という感じである。単なる情景の羅列で、入院の場面、お見舞いの場面、病室患者の会話の場面、意思との会話の場面などがブチブチと切れて羅列されているだけである。そして、日本の情景がところどころに挿入されている。何を言いたいのか全く分からなかった。原作がとてもよかっただけに、このビデオの内容はとても残念である。 なお、この感想は私の感性が足りないだけかもしれないので、鵜呑みになさらないように。そして原作に星を付けるとすれば5つである。原作は一押しである。
04.
正直、かなり泣きます。 …その涙は人間として根本的で一番原始的な衝動から来る哀しみだ。 涙腺の弱い人は観る時は要ハンカチ。 何故かDVD化が未だなので是非皆さんに観て考えて欲しい作品。 「自分ならそのときどうするか」
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