01.
これはロンドンで見てプロットがいまひとつフォロー出来なかった映画です。シェイクスピア英語は分からんと思いつつ、しかし最後まで退屈せずに見たことは覚えています。帰国して字幕版を見てやっと話の展開を理解しました。
大画面で見たオープニングの高揚感は忘れられません。殿方たちが勇壮に戦から帰り、乙女たちはキャーキャーと騒ぎ、相見える前に互いに水浴びをして体を清め、いざ対面となると殿方たちは堂々と背筋を伸ばし、乙女達は楚々として挨拶を交わす。この一連の展開が、華やかな音楽に導かれて映像詩のように流れていきます。要するに男性ホルモンと女性ホルモンがむんむんの、性行為の前奏曲のようなオープニングなのですが、そうそう、愛嬌と礼節と美しい言葉の交換がなければ、人間は所詮肉の塊になってしまうんだよな、と思わせてくれます。
男性群を率いるドン・ペドロ大公役にデンゼル・ワシントンを持ってきたのは素晴らしいセンスです。なんたる男振り。カッコイイのなんの。周囲の欧米人男優が霞んで見えます。
ストーリー展開としては「うーん」という部分はあるのですが、キャラ立ちが秀逸ですから気になりません。シェイクスピアは女性キャラを描くのが上手いですね。美人で賢くて勝気過ぎる乙女(エマ・トンプソン)と女によって堕落させられてなるものかと気負っているやんちゃ坊主のような男(ケネス・ブラナー)の恋の物語。シェイクスピアはいくつでこの作品を書いたのでしょう。人間の本質をグサリと突くような台詞がたくさんあります。イタリアの太陽と青い空が気持ちの良く、音楽も美しく、爽やかでいて上品な官能性のある映画です。
02.
思えば、私が恋をする度に繰り返し見ていた作品である。
シェークスピア独特の、「すれ違い・入れ替わり・勘違い」を全編に盛り込み、
切なく軽やかに物語は進んでいく。
また、この映画の魅力は役者によるところも大きい。
豪華キャストに加え、ケネス・ブラナーは本当に素晴らしく、恐らく、
夫婦として当時最も輝いていた時期であったであろう、エマ・トンプソンとの息もぴったり!
結末もカラリと明るく、「人間って案外こんなもんかも。。」と
ちょっと気持ちも明るくなる。
「観れば恋をしたくなる」そして「恋をすると観たくなる」そんな作品である。
03.
思えば、私自身恋をする度に繰り返し見ていた作品である。 恋することの楽しさ、人生の素晴らしさが全編に渡って謳い上げられている。 何度も見たくなる作品というのは、内容もさることながら やはり役者の魅力が大きい。K・ブラナーの演技は本当に素晴らしく、 夫婦として最も輝いていた時期だったであろう、E・トンプソンとの息もぴったり。また、M・キートンが苦手な方にもちょっとした収穫をもたらしてくれると思いますよ。 後味も爽やかで「人間って案外こんなもんかも・・・」と、カラリと前向きな気持ちになり、 明日が、そして新しい恋が待ち遠しくなるのです。
04.
デンゼル・ワシントン、キアヌ・リーブス、ケネス・ブラナー、マイケル・キートン・・・・この映画、豪華です。 出演者が豪華な作品は、仕上がりにがっかりくることが多いけれども、作者は主演者よりも豪華な人物シェイクスピア。 喜劇も悲劇も美しくまとまって、晴れ晴れと幕を下ろします。 とにかくセリフが美しい。恋を語るにも、怒りを表すにも、場にしっくりとくる比喩を含んでいる。 庭園で、友人たちの仕組んだ恋の罠にはめられていく主人公二人の姿がほんとうに素晴らしい。からりと明るく、セリフは極上。全編を彩る音楽もおすすめです。
05.
物語は終始、美しい自然を背景にサラリと進む。 フルテキストではないがかなり忠実に作ってある。 脚本も演出も良い。 これ以上の映画は完璧主義者じゃない以上、不可能なのではないか。
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