01.
確かに、アプローチは1971年当時としては、工夫が色々あって、さぞ新鮮な演奏だっただろうと思います。しかし、35年以上経った今聴いてみると、どうにもオーケストラの技術力や音色、録音技術から古めかしさが感じ取られるというのが正直なところ。
この録音がなされた1970年代以降、様々な名指揮者・名オーケストラが数々の名演を繰り広げるにつれ、演奏解釈も徐々にこなれ、同時にオーケストラの演奏技術や録音技術も飛躍的に向上しました。個人的に言えば、まだまだ「惑星」演奏の過渡期にあった録音なのではないかな、と思っています。決して悪い演奏ではないのですが、強くお薦めはできません。
02.
メータのこの演奏はしばしば「野生的」と表現されています。ところが私が聴くところ、それほど豪快というわけではなく、むしろ小澤のように緻密な構成によって成り立っているようでした。同時代に同じくアメリカで「惑星」を録音した、バーンスタインやスタインバーグの方が、テンポだけにものを言わせてずんずん進んでいく分だけ、よっぽど野生的かもしれません。
しかし、野生的でなくともこの「惑星」が意欲的かつ挑戦的であることは疑いありません。「火星」は前二者ほど速くはありませんが、ティンパニや金管を前面に出して実に闘争的です。私が持っているCDの中では最も遅い部類に入る「土星」も、意外と力強い印象を与えます。なんだかんだ言って「惑星」の中で私が一番好きなのがこの演奏です。
また、メータ本人よりむしろ、このCDの録音が野性味を引き立てているのかもしれません。楽器の響きを直接集音したような感じで、特に「火星」のテューバの響きは他のCDではなかなか味わえません。臨場感の面ではやや劣るかもしれませんが、決して各楽器の音が混濁しているわけでもなく、最終的に激しいメータの演奏の録音としては適しているように思います。
03.
全体的に軽快なテンポで演奏していて、初めて聴く人には特にお薦めできる一枚です。
1000円という安い値段も魅力ではないでしょうか。
「スター・ウォーズ」が入っているのも良いと思います。
又、他の指揮者のものでは、ボールト/ロンドン盤、デュトワ/モントリオール盤、
カラヤン/ベルリン・フィル盤をお薦めします。
04.
スターウォーズ組曲の演奏について、ライナーノートによると、 「一流指揮者とオーケストラが映画音楽を演奏した」ということが、 録音当時(1970代初頭)はセンセーショナルに報じられたそうです。 今では、一流オケが映画音楽を演奏しても誰も驚きませんが、 そんな時代があったのですね。ホルストにせよ、ウィリアムズにせよ、演奏は華やかできらびやか。 心を宇宙に解き放ってくれるようです。 宇宙に心遊ばせる、必聴の一枚。
05.
最近流行ったJ-POPで平原綾香さんが歌っているJupiterで有名になった曲ですが、クラシックファンは昔から知っているよ、と言う方が多いと思うクラシックとしてはポピュラーな曲です。 カラヤン指揮の重厚且つ遅めのテンポの表現とは違い、メータの指揮は軽快なテンポで非常に聞きやすく、私はこれがスタンダードと思っています。もちろんカラヤンにはカラヤンの持ち味があり捨てがたいのですが、クラシックも聴いてみようかなと思う方からクラシックに通じている方まで満足できる演奏と言えます。 また、映画スターウォーズのテーマも入っており、こちらだけでも聴く価値は十分にあると思います。 また演奏に癖がないこと、メータの若い時の良さも十分に聞きごたえのある1枚と言えます。 平原綾香のJupiterだけでなくたまにはクラシックの醍醐味を味わうのもおつなものですよ。
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